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 天の川第3登07/5/26 冬季黒伏07/2/9〜12  開拓記録0606


天の川シリーズ 〜黒伏山「天の川」ルート第3登・・
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            期日・・・5月26日(土)
            メンバー:成毛(L)、佐藤(辰)、遠藤(博)、上小牧、阿部

        早朝メールを開けて見ると、午前6時に原宿公園集合とあった。並々ならぬ
       リーダーの登攀意欲が感じられ、急いで支度をして出かけた。6時ジャストに
       公園着、すでに全員が集合し、ゲストで遠藤とエベレストに登った上小牧さん
       を加えての5人のメンバー
である。


天の川第3登
を完登し満足
のメンバー
(ピークで)


         車2台に分乗し、入第一から林道に入る。途中から悪路のため、全員私の
       軽トラに乗り終点へ。ここで用具を再チェックし、不要なものは置いて行き荷を
       少しでも軽くする。南壁まで登山道を歩いて進むが、リーダーの姿はすぐに見
       えなくなった。気合が入っているな、と皆が感じた。
        南壁取り付きで準備をし、長靴などは置いて行こうとすると、リーダー「今日
       は上まで抜けるんだから、全部背負って。」と叱られる。
トップ成毛、セカンド
       上小牧、佐藤、阿部、遠藤の順で午前8時登攀開始。

         ところがどうだ、遠藤は、登攀用具に身を固めたその脇にハケゴをくっ付け
       ているではないか!「ウルイが今最高だから」と、岩登りをしながら山菜取り
       をするつもりなのだ。これには参った!。

1ピッチ 2ピッチ 3ピッチ


         私は、半年振りの登攀とあって、緊張はするし体は重いし、それに、今回は
       初見参の天の川ルートだ。出だしからフーフー言いながらの何と
か登る。上
       小牧さんは、エベレストで指を10本以上無くしたとはいえ、確実に登って行く。
       黒伏山そのものが初めての阿部が、ヒョイヒョイ登ってくるのには驚いた。毎
       週フリーで鍛え、体重も落として臨んだとのことであった。
         4ピッチからはいよいよ新ルートだ。難しいフリーが続く。7ピッチ目核心の
       ハング越え、人工のピンも遠いが、フリーに移るところがなお怖い。しかし、こ
       こからの眺めは巣晴らしい、まさに壁の真ん中をのぼっていることが実感でき
       る。
隣の中央ルンゼを登っている仙台のパーティーは、直ぐ傍だ。9ピッチ目。
       ここもハングを人工で超えるが、下から見ていると自分は登れるかなと心配

       になる。よくリーダーはトップでここを行くもんだ、と感心することしかり。何とか
       ここもお助けアブミにつかまりながらクリアー。
         10ピッチ目の草つきを登り、最後のやさしいフリーの11ピッチを越えるとよ
       うやく稜線に飛び出した。午後6時だ。10時間の登攀時間

9ピッチ 11ピッチ


         登山道にどっかと腰を下ろして、ようやく生きた心地がした。気がつくと背
       負っていた昼食も水もとらずにいたのだ。緊張の連続であったのが良くわか
       る。「草は少ないし、壁も濡れておらず、登るとすれば今が一番いい時期なん
       だ。」とリーダー
遠藤といえば、登りながら採ったウルイで、今日はうまい酒
       が飲めるね、とご満悦。
         南峰の頭で全員の記念撮影をし、登山道を急いで下った。上小牧さんは
       登攀で、失った足の指の皮がむけ、歩くのが難渋のようだった。
         登攀から3日ほどしたら、ようやく天の川第3登を達成することができた実
       感が沸いて来た。パーティーを組んだ仲間皆に感謝したい。また皆で登りま
       しょう。
                                     記  佐藤(辰)


 天の川シリーズ *・・冬季黒伏山登攀報告・・*
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           〜2007年2月9日(金)〜12日(月)  ルート;天の川〜

        2006年初秋に開拓した天の川ルート、初完登するや否や、冬季にも登ろう
      という話が持ちあがっていた。思案にくれながらも登るのであれば下準備が必
      要と、何度か黒伏に通ったが、生憎天候に恵まれず、まともな準備が出来ない
      まま、冬が来てしまった。




        年が明け、登攀日が近づくが、例年にない暖冬、大寒に入っても寒気が入ら
      ない日々、このままでは壁はどうなることかと不安に苛まれる
。壁の状態を確か
      めるため、1月28日に下見を慣行、壁は多少氷が使える程度、本番まで2週間
      あり、寒波が入ることを祈り下山する。

        2月3日(土)、今回は、ベースキャンプに毎日降りてくるので、テント、ギヤ類
      その他のものを、山岳会の面々と荷揚げする。取付きから壁の状態を確認する
      と、壁は前日の降雪で真っ白いものの、連日気温の高い(10℃前後)日々が続
      き、壁の氷はほとんど落
ちた模様。
        本番は、どうなるんだ、寒波よ来てくれの願いもむなしく、その後も気温の高い
      日が続いた。

        2月9日(金)、15時、駐車場から双眼鏡でしばし壁を確認、先週の雪も落
      ち、壁がだいぶ露出している。連日の高温と氷の無さに今回の登攀が厳しくな
      ることが伺える。
        約1時間で、ベースキャンプのきびたきの池に到着。午前中に入山していた
      遠藤(博)さん、佐藤(仁)さん、NHKの山村さんがテントの設営を終え
、出迎え
      てくれた、ありがたいかぎり、頭の下がる思いである。
        夜半に、松村君、佐藤(辰)・関さんが入山。明日の冷え込みを期待しながら
      22時30分に就寝。

        2月10日(土)、6時20分出発 昨晩は冷え込みがほとんど無く、取付きまで
      の雪もやわらかく足がとられる。7時54分に登攀開始、バイル・アックスを振るうが、
      氷に刺さるどころかぼろぼろ、ザクザクと砕け落ちる
、気温が高く寒さも感じない
      が、手袋はびしょ濡れ、壁はというと最悪の状態。8時10分1P目終了。


        ザイルをフィックス、遠藤(博)さんと佐藤(辰)・山村さんにユマールにて登っ
      てもらう。松沢君は登攀、山村さんは撮影。
        10時2P目登攀開始、出だし一段上がり左に回りこむが、氷が無いため非常
      にいやらしい、ぐさぐさの雪に気休めのバイルを打ち込み恐る恐る回り込む。こ
      のあと右上するが、最後のハーケンから約15メートルランナアウト、腐った雪に
      だましだましバイルを差込み、落ちないようにと願いながら慎重に進む
。ビレイ点
      10時40分着。


        11時30分3P登攀開始、出だしから5メートルトラバースぎみにランアアウト、
      右上ぎみにカム・エイリアン等を使いアブミ登攀に移る
。アブミ登攀を終え直上す
      るのだが、ここの氷もザクザクのため、かなり苦労した。バイル一本でぶら下がり、
      落ちそうな場面も
あった。
        12時54分ビレイ点到着。ザイルフィックス後、上を見上げると、今にも落ちそ
      うな巨大な雪塊がある。気温は上昇ぎみだし、あれが落ちれば全員逝っちゃう
      んじゃないかと心配しながら、早くあがってきてと心でつぶやく。14時全員ビレイ
      点到着、今日はここまでとし、さっそく下降に移る。


        15時30分無事ベースキャンプ到着。会の仲間が鍋料理を作って出迎えてく
      れ、岳友のありがたさを感じる。

        2月11日(日)、 4時30分起床、 6時60分出発 昨晩はだいぶ冷え込み、
      壁の状態も雪もしまり、だいぶ良くなった模様。取り付き7時30分、昨日のフィ
      ックスロープを使い、ユマーリングで3P終了点を目指す。


        壁の状態は良かったものの、徐々に気温が上昇し、3P終了点に着いたころ
      には、壁から滴が落ち始める。
前日の壁の状態から考慮しても、これ以上の登
      攀は危険と判断、フィックスロープを回収し下降に移る。12時、全員ベースキャ
      ンプ到着。


        登攀具をはずし、今回の冬季黒伏山登攀を終了とする。テントにて鍋を囲み、
      会の仲間と時を忘れ山談義に集う。夕刻から雪が降り始める。

        2月12日(月)、 のんびりと起床 昨夜からの雪で50cm近く積雪があり、
      テントが半分埋まった状態、全員でテントを撤収
、きびたきの池を後にする。
      11時全員無事駐車場到着。駐車場は、30cmくらいの積雪。


 
      ***感想***
        今回は、厳冬期にもかかわらず、あまりにも壁の状態が悪すぎた。全身びし
      ょ濡れで、寒い夜をすごさざるを得なかったことを考えると、ベースキャンプで暖・
      食事など準備して待っていてくれた、会の仲間に心から感謝したい。
        来季リベンジに向け、今年一年をかけ取り組む所存です。


                                       記 2007.5.25  成毛   


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開拓記録〜下記
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        黒伏山新ルート「天の川」図



             黒伏山新ルート「天の川」開拓物語
                      
          6月上旬の某日、今年初の黒伏山にクライミングに行ったときの事である。
          ひさびさの登攀でもあり、和田君を誘い登りなれている中央ルンゼに向か
        った。1P目和田君リードで登攀開始、3P目終了点にて和田君をビレーしな
        がら見上げていると、今まではあまり気をつけて見なかったからか、正面や
        や右に一本の左上しているフェースがみられた
。なんとなくあれをルートにし
        たら快適なんじゃないかなーと思いつつ、4P目終了点で、和田君に新ルー
        ト開拓を持ちかける。和田君は、昨年も黒伏山にルート「秋風」を開拓してい
        る猛者で、正面を見上げ、う〜ん・・どうですかね〜・・という返事。
          ここで一旦話はやめ、中央ルンゼを終了点まで登る。懸垂にて下降、私が
        先に降り4P下降点にて一休み。見上げれば見上げるほど新ルート開拓がめ
        らめらと燃え上がり、和田君が降りてきたときには、来週から開拓しようと強
        引に説得。和田君もなんとか了解

1P目 5P目終了点から見たところ 5P目垂壁


          翌週から開拓が始まる、開拓コンセプトは、「快適に岩を楽しめるルート」
        部3Pは中央ルンゼルート、4P目からが新ルートとした。過去のルート図を見
        ると、多少かぶる箇所もあるようで、ところどころ残置ハーケンが見られた。4
        と5P目は快適なフェース、6P目は難しいフェース、7P目は豪快に人口で越え

6P目 7P目後半スラブ 7P垂壁の入り口
9P目のスラブ

        高度感に痺れる。8P目ルートの都合上中央ルンゼの8Pと合流、垂壁を越え
        左上して中央ルンゼと分かれる。9P目難しいフェースから庇状ハング、10P
        目草付きの階段状スラブ、11P目易しいスラブの後、ブッシュ10mで稜線へ。
            2006年9月9日(土) 初登   開拓者:成毛正範、和田淳二

          6月上旬から延べ日数にて7日間プラス2日(雨のため駐車場で解散)を要
        した。時期的なものもあり、開拓はウルイの処理と雨との戦い(5日間は途中
        から雨)、ビレイ点および支点はすべて手打ちと、根気のいるものであった。
         今後、一人でも多くのクライマーに登攀してもらいたい。登られた方は、忌
        憚のないご意見、ご感想をおよせ願います。
                           2006/09/29 記 成毛
                           アドレス: naruke@agate.plala.or.jp
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